前回書きました「貸倒損失の税務の基礎知識1」はいかがでしたでしょうか。
今回は「貸倒損失の税務の基礎知識2」を書きたいと思います。

◎実際に損失計上する際の注意点

⑴損失計上する前の確認事項
次のような要因を総合的に確認検討していくとともに、これらに関する証拠書類(内容証明郵便の控など)をしっかりと保管しておきましょう。
➀その債権は、いつどのようにして発生したのか、また、現在までの回収状況はどうなっているか
➁債権者に対する督促を適宜行っているか、また、どのような回答があったのか
➂債務者の経営状況および財務状況はどのような状態であるか、また法的な措置は取られているか

⑵消費税率に注意しましょう
売掛金が貸倒れになった場合、その売掛金に含まれる消費税額を控除しますが、この金額は売上が計上された際の税率で計算しなければなりません。

⑶本当に貸倒損失なのか?
利益が出ているのに、取引先の救済のために債権を放棄した場合や、回収の可能性があるのに回収の努力が足りていない状態で放棄した債権については、税務上、寄付金として損金算入が制限されるケースがあるので注意しましょう。

 

◎貸倒れにならないためにやっておくこと

貸倒が発生すると自社の経営にも甚大な悪影響を及ぼしかねません。
このような事態を回避するためには次のようなことを実施しておきましょう。

⑴新規の取引先へは、少額の現金取引からはじめる
新規の取引先に対しては、はじめは現金決済とし、ごく小さな取引から開始すると良いでしょう。
徐々に信頼関係を築いていけば、将来的に大切な取引先となっていくかも知れません。また、その取引先から決算書を入手するなど相手の状況を事前に把握したいものですが、実際には難しいかもしれません。
そこで、インターネットなどの情報を利用して、会社の規模や実態(地図情報を利用)、法人番号を確認しておくと良いでしょう。

⑵定期的に債権管理を行う
少なくとも毎月1回は取引先ごとに債権残高を管理しましょう。請求漏れがないか、そして、約定の支払期限の過ぎた債権はないかを確認します。期限が過ぎていれば速やかに督促をする必要があります。

⑶取引先の動向を注視する
定期的に取引先を訪問する営業担当社員などは、日頃から取引先の動向を注視しておきましょう。取引量の減少や、取引条件の変更要請だけでなく、担当者の応対、人員の削減や異動、また、事務所や工場内の様子の変化など、企業の危機には少なからず前兆があるものです。

⑷社内で情報を共有する
取引金額が減少しているのに、売掛金残高が増加しているなど経理部門の情報を営業部門が伝達して、常に取引先に関する情報を共有していなければなりません。お互いに情報交換ができるような環境を作りましょう。

(事務所通信8月号P.4-5参照)